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みやざきエッセイスト・クラブ作品集29『花のかたりべ』

エッセイ、豊穣な時間。経験と直感が放つ輝き 16篇みやざきエッセイスト・クラブ作品集29『花のかたりべ』

みやざきエッセイスト・クラブ 四六判/並製/132ページ 2024年11月2日初版発行 はじめに みやざきエッセイスト・クラブ会長 福田 稔 新型コロナが季節性インフルエンザと同じ五類に分類されて一年が過ぎた。おかげで、会員同士が直接交流できる喜びを改めて実感することができた。 感染流行は完全には終息していないが、今年も無事に作品集を出版できた。会員の皆様、出版作業でお世話になった鉱脈社の方々、カバー・扉絵を提供してくださった日高セツ先生に心よりお礼を申し上げたい。 さて、今年開催されたパリ・オリンピックで、日本は金メダル二十個を含む四十五個のメダルを獲得した。海外でのオリンピックでは過去最多となったそうだ。 しかし、日本がお家芸と位置付ける競泳では、期待された結果が得られず、マスコミは「惨敗」と報じた。その記事を読みながら、私は二〇〇三年にお会いした鹿屋体育大学の田口信教教授(現在は名誉教授)のことを思い出した。先生は一九七二年のミュンヘン・オリンピック競泳の金メダリストである。 その日、学内の水泳関連施設を案内していただいたが、まるで実験室のような最新設備もあって、競泳とはただ泳ぐだけではないことが理解できた。科学的なアプローチや技術のあと推しがないと世界レベルに達せないのである。見学が終わる頃に、「今ね、良い選手がいるんですよ」と先生は笑顔で話された。 実は、そのとき私の頭には、二〇〇〇年のシドニー・オリンピック競泳で活躍したオーストラリアのイアン・ソープ選手の体格が頭に浮かんだ。 ……高い身長、広い肩幅、速く泳ぐための筋肉。彼のような人たちと競っても勝つのは難しいのでは……。 田口先生には悪いと思いながらも、半ば諦めたような気持ちを私は抱いてしまったのだった。 ところが、二〇〇四年のアテネ・オリンピックで、鹿屋体育大学四年生の柴田亜衣さんが金メダルを獲得した。高校までは無名の競泳選手だった彼女は、泳ぐこと以外のあと推しのおかげで、大学入学後の約三年間で金メダルを取るまでに成長したのだ。彼女こそ、田口先生が口にされた「良い選手」であった。 ひょっとすると、文芸活動も最新技術にあと推ししてもらう時代になったのかも知れない。来年は三十冊目の作品集出版を予定しているが、それを機に、創作以外でのインターネットや生成AIの活用法を考えてみたいと思う。 ただ、新しい技術のあと推しがあると言っても、創作活動の基軸は経験と直感であることに変わりはないだろう。これは生成AIが及びもしない人の領域である。 人はそれぞれが異なる経験と直感を持つ。したがって、それぞれの作品が放つ輝きは一様ではない。この異なった輝きというのが、本作品集の醍醐味だ。読者の皆さんには、作品それぞれの輝き方を楽しんでいただければ幸いである。 目次 入谷 美樹 桜の季節の思い出/新しい犬 岩田 英男 煌く音の葉たち 須河 信子 ファンタジー 鈴木 康之 アーカイブ 戸田 淳子 花のかたりべ 中武 寛 リセットと覚悟 中村 薫 車中朗読会/幸せのお茶 野田 一穂 そんな約束 福田 稔 走れ、ツバメ号! 丸山 康幸 海を隔てなお近いところ(二〇一八年~二〇二四年) 森 和風 贋作者の嘆き 森本 雍子 永遠の煌めき 夢 人 紡がれる想い―サムシング・グレート― 米岡 光子 コーヒーブレークでリフレッシュ 私たちが心をこめて作っています。 鉱脈社は1972年に誕生し、2022年に50周年を迎えた、宮崎に根ざした出版社です。「月刊情報タウンみやざき」などの情報誌のほか、単行本やシリーズ書籍の出版、自費出版のお手伝いを手がけています。雑誌分野ではスタッフ一丸となって足で情報をかせぎ、書籍出版分野では著者様と力を合わせて納得のいく本づくりを心がけています。私たちが愛情込めて作った本を、ぜひ手に取ってみてください。

1320 円 (税込 / 送料別)

みやざきエッセイスト・クラブ作品集27『記憶の手ざわり』

人生はどこを切り取ってもエッセイになるー17名22篇、人生に寄り添うことばみやざきエッセイスト・クラブ作品集27『記憶の手ざわり』

みやざきエッセイスト・クラブ 四六判/並製/152ページ 2022年11月19日初版発行 発見と共感の22篇 「持ち上げたらその重みには長い歳月と思い出がつまっていて、表紙は時が刻まれた手ざわりがするに違いない」(表題作より) 〈目次〉 伊野啓三郎/夢は果てしなく 岩田英男/料理男子の本懐 須河信子/虹の橋を渡る 鈴木康之/縁は異なもの 高木真弓/孫と遊ぶ新船フェリーが旅にいざなう 谷口二郎/ひまわりとBLUE/父の形見/手紙の整理/スクランブル交差点 戸田淳子/夏木立/輝け未来都市 中武寛/最終章、静寂に終わる 中村薫/「シンセン」な家族旅行 中村浩/宮崎国際会議場 野田一穂/記憶の手ざわり 福田稔/想い出のカンニング 丸山康幸/勇者は寡黙なり 森和風/守護神は覇気 森本雍子/幻のシルクロード 米岡光子/手紙は恋しさの贈り物 渡辺綱纜/岡本太郎さんと宮崎、そして私 会員プロフィール あとがき はじめに みやざきエッセイスト・クラブ会長 福田稔 新型コロナ禍となって、やがて三年が経つ。外出時に必ずマスクをつけているし、日に何度も手洗いとうがいを続けている。だが、それでも私は濃厚接触者となってしまった。四歳の次男が新型コロナに感染したからだ。実は、正直なところ、「濃厚接触」という用語を私は心の中で小馬鹿にしていた。なんとも艶かしい響きがあるこの用語をニュースで初めて聞いたときには、妙な表現だと感じずにはいられなかった。『日本国語大辞典』(小学館)には、「濃厚接触」という用語はない。ただ、「濃厚」の意味として、「濃くあついさま」と、「男女の仲のきわめて情熱的なさま」がある。医学的な使い方とは無縁だし、インターネットの医学用語辞典を調べても、この用語は見当たらなかった。しかし、当事者になるとなぜか、「濃厚接触」に親近感を抱くようになった。 新型コロナ禍になって、馴染みのなかった用語が使われ始めたと感じることが多い。例えば、片仮名の「クラスター」や「ソーシャル・ディスタンス」などがあるが、漢字も負けていない。「不要不急」や(もちろん)「濃厚接触」も大活躍である。これらの用語は、本当に新型コロナ感染流行がきっかけとなって、使われるようになったのだろうか。 そこで、『宮崎日日新聞』のデータベースサービスで調べてみた。各用語の直ぐ下の数字が二〇〇一年四月一日から二〇一九年十二月三一日までの約十八年間の記事の件数で、その次の数字が(新型コロナが報道し始められた)二〇二〇年一月一日から今年八月三一日までの二年八ヶ月の記事の件数である。 「クラスター」 三四四、一五一一 「ソーシャル・ディスタンス」 〇、一〇六 「不要不急」 一六一、五七〇 「濃厚接触」 四六、一〇六九 確かに、新型コロナの発生が頻度に影響していることがわかる。特に、「ソーシャル・ディスタンス」は、そもそもコロナ禍以前には存在していなかったのである。次は、私と密な関係にある「濃厚接触」である。これは英語のclosecontactの訳語であるらしい(それなら、「近密接触」でも良かったと思うが)。そこで、英語のデータ集を使ってこれも調べてみた。すると、「濃厚接触」と全く同じ傾向があることが判明したのである。二〇一九年までは、closecontactは頻出表現ではなかったが、二〇二〇年に入ると大変化が生じていた。例えば、世界二〇カ国の英語ニュースのデータ集によると、十倍以上も使われ始めたのである。『宮日』では、二〇〇三年五月一八日のSARS(重症急性呼吸器症候群)の報道で「濃厚接触」が登場している。「濃厚接触」には先例があったのである。そして、二〇二〇年になると、一月と二月だけで四八件の記事で使われており、二〇一九年までの四六件をこの二ヶ月だけで越している。 さて、この三年間のみやざきエッセイスト・クラブの活動を振り返ると、作品集の刊行を通して、会員間の「心の三密」を維持してきた。二七冊目となる本作品集も、表紙として作品を提供して下さった田中等様、鉱脈社の皆様、そして、会員の皆様の協力と支援の賜物である。心より感謝申し上げたい。そろそろ一歩踏み出して、対面での活動に戻る時期に来ているとも感じられる。感染防止策は充分周知されているし、何より交流したいという心の欲求がある。この作品集の刊行を機に、Withコロナ時代における、私たちの「濃厚活動」が再開できればと思う。 私たちが心をこめて作っています。 鉱脈社は1972年に誕生し、2022年に50周年を迎えた、宮崎に根ざした出版社です。「月刊情報タウンみやざき」などの情報誌のほか、単行本やシリーズ書籍の出版、自費出版のお手伝いを手がけています。雑誌分野ではスタッフ一丸となって足で情報をかせぎ、書籍出版分野では著者様と力を合わせて納得のいく本づくりを心がけています。私たちが愛情込めて作った本を、ぜひ手に取ってみてください。

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みやざきエッセイスト・クラブ作品集28『パスカルの微笑』

共感×発見×刺激=エッセイの効能∞ー宮崎を代表する15人のエッセイスト、“いま”を活写する珠玉の30篇みやざきエッセイスト・クラブ作品集28『パスカルの微笑』

みやざきエッセイスト・クラブ 四六判/並製/132ページ 2023年11月26日初版発行 〈目次〉 収録作品 伊野啓三郎/明日への祈り 岩田英男/パスカルの微笑 鈴木康之/民主国家の防人 谷口二郎/自転車に乗って/時間・仲間・空間/夫婦のお店/シェーのポーズ/コーヒータイム/待つということ/歩く大切さを実感/家内は大切/一緒に時を過ごす 戸田淳子/海峡暮色/魔法のじゅうたん 中武寛/摩天楼の屋上にて 中村薫/忘れもの/アイロン・マスター/赤とんぼ 中村浩/おとうと(-弟-宗生のこと) 野田一穂/震えた話をしようと思う―恐怖・感動・発見 福田稔/バスルームの神器たち 森和風/七巡りの卯寿/後編―戦の最中に飛び込んで― 森本雍子/柔らかな日差しの中で/幻の五厘橋 夢 人/消えたP3(ドン・ペリ) 米岡光子/シンプルな暮らしに 渡辺綱纜/汗ボタボタの池内淳子さんと私 私たちが心をこめて作っています。 鉱脈社は1972年に誕生し、2022年に50周年を迎えた、宮崎に根ざした出版社です。「月刊情報タウンみやざき」などの情報誌のほか、単行本やシリーズ書籍の出版、自費出版のお手伝いを手がけています。雑誌分野ではスタッフ一丸となって足で情報をかせぎ、書籍出版分野では著者様と力を合わせて納得のいく本づくりを心がけています。私たちが愛情込めて作った本を、ぜひ手に取ってみてください。

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中村佳文 牧水の聲~短歌(うた)の朗誦性と愛誦性◎鉱脈社

牧水はどんな聲で詠んだのだろうー歌はかつて声高らかに詠われていた。朗誦の伝統を発掘し、「聲」(身体性)の復権へ。気鋭の注目の論考集。中村佳文 牧水の聲~短歌(うた)の朗誦性と愛誦性◎鉱脈社

定価本体2000円+税 四六判 並製 236ページ みやざき文庫153 2023年9月17日 初版発行 私たちは「声」を失っているのではないか。 宮崎大学教授の中村佳文氏の本書『牧水の聲』を読むとあらためてそう思う。 中村氏は和漢比較文学の専門家で、 また 『声で思考する国語教育』の著書をもつ音声表現の専門家でもある。 そんな氏による牧水論は斬新で注目に値する。牧水短歌の朗詠性と愛誦性に着目して精緻に論じる論考は「声の歌人 牧水」をよみがえらせると同時に、現代において「声」のもつ文化をみなおすアクチュアリティをもっている。 牧水愛好者はもちろん、 詩歌や音声表現の関心ある読者にぜひ手に取っていただきたい一冊である。  歌人、 若山牧水記念文学館館長 伊藤一彦(本書オビ文より) 目次 序章 牧水の朗誦性と明治という近代 一、牧水の朗誦性と時代 二、 近代読者と音読・黙読 三、「国語」の成立と五七調・七五調の問題 四、牧水の「力動」を読む 五、おわりに 第一章 牧水の聲―「朗詠」ができた最後の歌人 一、牧水の聲が聴きたい 二、同時代の人々が聴いた牧水の朗詠 三、朗詠が歌に適するのか? 歌が聲にかたち創られるのか? 四、近代歌人の朗詠と朗読―「詠う」から「読む」へ 五、牧水の聲すなわち短歌 第二章 牧水の耳―渓の響き「日の光きこゆ」「鳥よなほ啼け」 一、はじめに―「耳をすませば」 二、渓の響きと独り言「寂しさの終てなむ国」 三、湯桧曽から谷川へ ⑴「日の光きこゆ」 四、湯桧曽から谷川へ ⑵「鳥よなほ啼け」 五、牧水の耳と『古今和歌集』の宇宙 六、むすび「眼を開くな、眼を瞑ぢよ。」 第三章 明治四十三年の邂逅―牧水と啄木の交流と断章と 一、解けぬひとつの不可思議の 二、ながめつつ君の死にゆきにけり 三、自然主義と牧水・啄木の調べ 四、漢文脈・言文一致と牧水・啄木 第四章 牧水短歌の「姿(さま)」と和漢の共鳴―「木の葉のすがたわが文にあれよ」 一、「ちひさきは小さきままに」 二、「怪しい嗚咽の声」 三、破調歌「恐怖」の要素 四、啄木「手間暇のいらない歌が一番便利なのだ」 五、「木々の雫にか」―「調とは則ち姿なり」 第五章 牧水の学び―香川景樹『桂園一枝』と坪内逍遥「文学談」 一、牧水が受けた教育 二、香川景樹『桂園一枝』の和歌の影響 三、坪内逍遥博士の「文学談」 四、牧水の学び 第六章 「しびれわたりしはらわたに」―和歌・短歌と朗誦・朗読 一、牧水のうたは声なり 二、音読と国語、短歌と朗読 三、和歌・短歌それぞれの百五十年 四、「短歌県みやざき」に向けて 第七章 牧水短歌を愛誦するための覚書―歌の「拍節」を視点に 一、はじめに 二、牧水の歌が声でよまれる際の疑問 三、愛誦歌の「拍節」―『サラダ記念日』の秘密 四、牧水歌の拍節再考 五、むすび 終 章 「牧水短歌の力動を読む」伊藤一彦×中村佳文 第六十九回牧水祭 対談 二〇一九年九月十七日・於:日向市東郷町坪谷牧水公園「ふるさとの家」 著者プロフィール 中村 佳文(なかむら よしふみ) 宮崎大学教育学部教授:博士(学術) 1964年(昭和39)東京都北区田端に生まれる 1986年(昭和61)早稲田大学を卒業後、都内中高一貫校の教員となる 2000年(平成12)早稲田大学大学院修士課程修了 2006年(平成18)早稲田大学大学院博士後期課程修了 2013年(平成25)宮崎大学教育文化学部准教授 2018年(平成30)より現職 竹柏会心の花会員・牧水研究会会員(編集) 私たちが心をこめて作っています。 鉱脈社は1972年に誕生し、創業50年を超える宮崎に根ざした出版社です。「月刊情報タウンみやざき」などの情報誌のほか、単行本やシリーズ書籍の出版、自費出版のお手伝いを手がけています。雑誌分野ではスタッフ一丸となって足で情報をかせぎ、書籍出版分野では著者様と力を合わせて納得のいく本づくりを心がけています。私たちが愛情込めて作った本を、ぜひ手に取ってみてください。

2200 円 (税込 / 送料別)